「1p36欠失症候群」ってどんな病気? 知っておきたい基礎知識
新検査【全染色体検査+23微小欠失検査】でお調べできる疾患について、初めて目にした方も多くいらっしゃるかと存じます。こちらのブログでそれぞれの疾患について少しずつ、なるべくわかりやすくご説明していきたいと思います。
今回は「1p36欠失症候群」という病気についてお伝えしていきます。この病気はとても稀で、日本国内においては年間で10~20人程の患者さんの出生があると推測され、女児の方が男児よりも多いと考えられています。
1p36欠失症候群とは?
私たちの体を作る染色体の中には、体を形作ったり、成長したりするための大切な情報がぎっしり詰まっています。
「1p36欠失症候群」は、その中の1番目の染色体の一部が欠けてしまうことで起こる病気です。ちょうど本のページが何ページか抜けてしまっているようなイメージです。この抜け落ちてしまった部分に、体に必要な大切な情報が入っているため、様々な症状が出てくるのです。
なぜ起こるのでしょう?
この病気の原因は、生まれつき持っている1番染色体の特定の場所(1p36という部分)が、なぜか欠けてしまうことです。
多くの場合、この欠失は突然起こります。つまり、ご両親にはこの病気の原因がなくても、お子さんに起こることがあります。稀に、ご両親の染色体の一部に「均衡転座」という、見た目には問題ないけれど、お子さんに遺伝すると病気の原因になるような状態がある場合もあります。
どんな症状が出るのでしょうか?
症状は人によって様々ですが、主に以下のような特徴が見られます。
成長の遅れ: 赤ちゃんの頃から、体の成長がゆっくりであることが多いです。
発達の遅れ: 特に言葉を話すことや、運動能力(座る、立つ、歩くなど)の発達が大きく遅れることがあります。ほとんどのお子さんが、日常生活で特別なサポートが必要になります。
「てんかん」の発作: 脳の働きに一時的な乱れが生じ、意識を失ったり、けいれんを起こしたりする発作が見られることがあります。中には、薬が効きにくいタイプもあります。
特徴的なお顔立ち:眉毛がつながっているように見えたり(まっすぐな眉毛)、目がくぼんで見えたりします。あごが少しとがっているように見えることもあります。
赤ちゃんに見られる症状:筋肉の力が弱い(筋緊張低下)ため、体がふにゃふにゃしているように感じることがあります。また、ミルクを飲むのが苦手な場合もあります。
合併しやすい体の問題:
・心臓に生まれつきの病気があることがあります。
・耳が聞こえにくい(難聴)場合もあります。
・目の病気(斜視や白内障)が見られることもあります。
その他、肥満になりやすかったり、ごく稀に「神経芽細胞腫」という病気が見つかることもあります。
治療法は?
残念ながら、今のところ病気を根本的に治す薬や方法は見つかっていません。
しかし、それぞれの症状に合わせたサポートや治療を行うことで、お子さんの成長や生活の質を向上させることができます。
「療育訓練」というサポート: 発達の遅れや筋肉の弱さに対して、小さい頃から専門家による訓練を受けることで、できることが増え、症状が和らぐ可能性があります。
てんかんの薬: てんかんの発作には、お薬を使ってコントロールすることができます。発作が減ることで、お子さんの発達にも良い影響があります。
この病気とどう付き合っていくの?
「1p36欠失症候群」のお子さんは、知的な発達の遅れが一生続くことになります。てんかんの発作も、薬で抑えられる場合もあれば、大人になっても続くこともあります。
もし心臓に病気がある場合は、その治療がとても大切になり、命に関わることもあります。ごく稀にですが、突然原因不明の心停止が起こることも報告されており、注意が必要です。
前述のとおり根本的な治療法はまだ確立されていませんが、1p36欠失症候群患者さんにとって、早期の診断と適切な医療を受けることは重要です。
当予約センターの【全染色体検査+23微小欠失検査】で「1p36欠失症候群」の可能性をお調べすることは可能です。ただし、NIPT検査は確定診断ではない点にご注意ください。
