染色体について

新型出生前診断で分かるトリソミーとは?
人間の体はすべての細胞に46本の染色体があります。そしてそれぞれが二本一組の対をなしています。
このうち22対は常染色体とよばれ、男女に共通しますが、残りの一対は性染色体といって、男性はXY、女性はXXという染色体です。
22対の常染色体には大きい順に1番~22番まで番号がつけられています。
トリソミーとは、通常二本の対をなす染色体を両親からそれぞれ1本ずつ受け継ぐ分裂の際に、ある番号の染色体において三本になってしまった状態のことです 

【 13・18・21トリソミー・性染色体異常について 】

◆13トリソミー :出生児5,000~12,000人に1人。

誕生後の予後は一般的に悪く、生後1か月の生存率は約20%。1年生存できるのは、10%とされています。心臓疾患を初め多くの合併症を伴います。自力歩行や言葉の使用は難しく、発育、発達も極めてゆっくりとしています。成長すると周囲を理解し、笑顔や声で応えることが可能になる場合もあります。非常に稀ですが10歳を超える人もいます。 

◆18トリソミー :出生児3,500~8,500人に1人。

誕生後の予後は一般的に悪く、生後1か月の生存率は約50%。1年生存できるのは、10%とされています。心臓疾患を初め多くの合併症を伴い、複数の治療が必要となりますが、少しずつ成長していきます。自力歩行や言葉の使用は難しいですが、成長すると周囲を理解して笑顔や声で応えることが可能になり、非常に稀ですが20歳を超える人もいます。 

◆21トリソミー :出生児800人に1人。

特徴的な顔つきで、筋肉の緊張度が低く、軽度の知的障害があり心臓疾患をはじめとする合併症を伴いますが、医療や療育が進み多くの人が支援クラスを利用し学校生活を送っています。成人になってからは、作業所などでサポートを受けながら就業する方も多く、画家や演奏家、書道家、ダンサー、俳優として活躍している方もいます。平均的な寿命は50~60代です。厚生労働省の研究班のアンケート結果では、ダウン症の方の約9割が「幸せを感じる」という結果が出ています。  

◆性染色体異常

《 ターナー症候群 》:出生女児の約4,000人に1人。2本のX染色体のうち、1本が部分的または完全な欠失(Xモノソミー)。
この症候群の多くは自然流産となります。知的発達は正常かやや低めですが、社会適応は良好なことが多く、一般的に低身長・第二次性徴の遅れや不妊症を契機に診断され、ホルモン剤による治療を行います。
将来、医療技術の進歩により出産できる可能性もあるといわれています。
大動脈縮窄症、難聴や斜視がよくみられ、一般の方と比べて糖尿病、甲状腺疾患など発症しやすい傾向があります。 《 クラインフェルター症候群 》:出生男児の約1,000人に1人。XY染色体にX染色体が1本多い(XXY)。
知能は正常かやや低めですが、社会適応は良好です。背は高く、腕と脚が長いことが特徴です。不妊を契機に診断されることが多いが、医療技術の進歩により子どもを授かる可能性もでてきました。
思春期に疑われ、診断された場合は、ホルモン剤による治療を行い男性的な外見の出現を促進します。
一般の方と比べて糖尿病、慢性肺疾患、甲状腺疾患など発症する傾向があります。  

*その他のX染色体異常

XYY症候群(男児)・XXX症候群・XXXX症候群(女児)など、いくつかのパターンがあります。 

≪参考URL≫
※お知らせと注意事項※
  • 基本検査の13 番トリソミー(パトウ症候群)、18 番トリソミー(エドワーズ症候群)、21 番トリソミー(ダウン症候群)、性染色体異数性(ターナー症候群・クラインフェルター症候群等)に関する陽性は病名が表記された結果報告となりますが、それ以外の染色体にトリソミーが出た場合は番号のみの結果報告となります。
  • 基本検査「染色体13番トリソミー(パトウ症候群)、染色体18番トリソミー(エドワーズ症候群)、染色体21番トリソミー(ダウン症候群)、性染色体異数性(ターナー症候群・クラインフェルター症候群等)以外の病名等に関しては遺伝子専門分野になりますので当院ではお答えできかねます。ご了承ください。

アルツハイマー型認知症とダウン症

21番染色体異常で起こるダウン症の人が40歳を過ぎると、アルツハイマー型認知症になりやすいことが知られています。ダウン症を通してアルツハイマー病のメカニズムや治療法を探ろうという取り組みが進んでいます。
ダウン症は、21番染色体のトリソミーで起こります。人により程度は異なりますが、知的障害や心臓異常などが出ます。以前は小児で亡くなる例も多かったのですが、心臓手術の普及や医療の進歩で、平均約60歳まで生きられるようになっており、それによりアルツハイマー病も増えています。これにはトリソミーとなった、21番染色体にある遺伝子の働きが、通常の1.5倍になることなどが関係すると考えられています。
21番染色体にはアルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβの基となるタンパク質を作る遺伝子もあります。21番染色体にある遺伝子により作られる酵素が過剰に働き、アミロイドβを分解する別の酵素の働きが低下していることが認められています。アミロイドβの過剰生産と分解低下が相まって、アルツハイマー病を早期発症している可能性があるとされています。(2020年2月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり氏)参照元URLhttp://yoshimurayasunori.jp/